復旧・復興
被災地を支え、復興へと導く施設
広域的で災害に強い道路ネットワークは、産業を支え、地域経済を活性化する。災害時には、避難路として、あるいは救援道路・緊急輸送道路として機能する。
岩手、宮城、福島3県の海岸堤防や河川堤防は、数十年から百数十年に一度の発生が予想される津波を想定した高さを設定。これらの施設は、沿岸地域の復興を防災面から支えることとなる。

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広域的で災害に強い道路ネットワークは、産業を支え、地域経済を活性化する。災害時には、避難路として、あるいは救援道路・緊急輸送道路として機能する。
岩手、宮城、福島3県の海岸堤防や河川堤防は、数十年から百数十年に一度の発生が予想される津波を想定した高さを設定。これらの施設は、沿岸地域の復興を防災面から支えることとなる。
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八戸港フェリーターミナル(青森県八戸市大字河原木字海岸25) MAP
八太郎地区の北防波堤は、ケーソンが滑動・転倒し、全長3,496mのうち約9割が被災した。北防波堤の復旧にあたっては、大量の津波堆積土砂等をケーソン中詰材に利用し、また、東日本大震災クラスの津波が再び襲来しても防波堤が大きく被災しないようにするため、粘り強い構造を採用している。
特に八戸港の臨海部及び市街地は広範囲にわたり浸水被害を受け、押し流されたがれき等により臨港道路が不通となったが、懸命な撤去作業により、3月15日午後にはほぼ撤去が完了し救援ルートが確保された。また、発生頻度の高い津波による被害を防ぐために、防護ラインを設定して防潮堤を新たに整備することにより、浸水域の減少効果が期待されている。
埓浜防災緑地(福島県新地町大字埓木崎) MAP
福島県内の津波被害を受けた沿岸部においては、将来を見据えた復興に向け、津波災害に強いまちづくりとして海岸堤防、防災緑地、道路など複数の手法を組み合わせた「多重防御」と、避難路確保などによる、ソフト・ハード両面からの総合的な防災力の高いまちづくりが進められることとなり、埓浜地区では、防災緑地の整備や海岸堤防、県道相馬亘理線などの整備が一体的に計画された。
防災緑地は、津波被害の軽減を図るとともに、地域のレクリエーション、文化活動、美化活動などを通じて震災の記憶を継承し、防災意識の向上や震災伝承につながることが期待されている。
市道大洲松川線(福島県相馬市尾浜字松川) MAP
東日本大震災により、相馬市では震度6弱が観測され海岸には高さ9mを超える津波が押し寄せた。これにより、海岸堤防の大部分が破壊され、兼用して利用されていた堤防上の市道も全区間に渡って流失するといった甚大な被害を受けた。
復旧については、堤防を震災前より1m高くし、堤防を越える波にも耐えられるよう『粘り強い構造』にするとともに、市道と堤防を一体化した『強固な構造』とし、観光道路として愛されるよう、車窓から海が見えるように道路を高くするなどの工夫も行った。市道と海岸堤防は一体構造であるため、海岸堤防の事業者である県が代行工事により施工した。
震災直後の跡形もない状況から地元の建設業者の協力や全国からの多くの都府県職員の応援を得て、7年の歳月を経て、2018年4月21日に復旧工事が完了した。
松川大洲・大浜地区海岸の整備により、甚大な被害を受けた沿岸部の安全・安心が確保されるとともに、通行止めにより分断されていた地区が結ばれることで、地域住民の方の利便性が向上し、更には相馬周遊ルートの確立による観光や地域産業の活性化など、多くの効果が期待される。
請戸漁港(福島県双葉郡浪江町請戸中島) MAP
請戸漁港は、第3種漁港に指定されており、福島県内における水産物の流通の拠点となる漁港であり、震災前までは利用漁船数が100隻を超え、年間2,000トン以上の多種多様な魚種が水揚げされる漁港でした。また、1996年には大規模な地震等が発生した場合に被災直後の緊急物資等の海上輸送を行い得る防災拠点漁港に指定されました。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により浪江町では、震度6強の地震が観測され、海岸には高さ15mを超える津波が押し寄せ、請戸漁港の岸壁や海岸堤防等のすべての施設が流出・倒壊等の甚大な被害を受けました。また、請戸漁港は事故が起きた福島第一原子力発電所から最も近い漁港(約7㎞)であり、立入制限があったため、防災拠点として機能できなかったことに加え、復旧工事が着手できるまで約2年半の期間がかかりました。
請戸漁港の漁業者は被災して集団移転し、通い作業を余儀なくされたため、水産業共同利用施設の充実や漁具の保管場所が必要となり、町と連携して漁港施設と一体的に整備し請戸漁港の機能の強化を図りました。請戸漁港は、今後も浪江町の基幹産業を支える重要なインフラとして機能を発揮するよう、整備を進め、2018年1月2日に震災後初の出初め式を行う事ができました。
新しい海岸堤防は、震災の教訓を活かし、堤防高を見直し、津波が越流しても直ちに壊れないよう、基礎の根入れを確保した「粘り強い構造」を採用しました。
震災だけでなく原発事故の影響を大きく受けた請戸漁港は、地元建設業の協力や全国からの都府県の応援をいただき、被災から約10年の歳月を経て、2021年3月に復旧工事が完了しました。
大船渡市 サンアンドレス公園展望台(岩手県大船渡市大船渡町笹崎) MAP
2011年3月11日14時46分、東北太平洋沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。太平洋沿岸に巨大津波が押し寄せ、各地に壊滅的な被害をもたらしました。
大船渡港においては、湾口防波堤や岸壁などの港湾施設が数多く被災しました。特に大規模に被災した湾口防波堤は、ケーソンが滑動・転倒するなど、全長736mが全て被災しましたが、津波襲来時に湾口防波堤と防潮堤が一体的に機能し、浸水域の低減や津波到達時間の遅延など一定の津波減災効果を発揮しました。
復旧は、翌年の2012年7月より災害復旧工事に着手し、4年8ヶ月の歳月を経て、2017年3月に復旧が完了しました。なお、復旧にあたっては、同規模の津波が襲来した場合でも、防災・減災効果が長時間にわたって発揮できるように、粘り強く津波に耐える構造となるよう創意工夫が施されています。